2008年05月16日


特許は誰のために?【任天堂が他社の特許を侵害、22億円の賠償金支払を命令】

ゲームキューブ コントローラー

そもそも特許制度は何のためにあるのでしょうか? ある者の「発明」に関して法的な保護を行い、コピー商品などを防ぐための制度、と言う認識の方が多いと思いますが、実はそうではないかもしれないのです。


 
  発明を独占する権利 【特許の仕組み】

何か新しい物を発明した場合、それを特許として法的な保護を受けるためには、特許を管理する団体(日本では特許庁)に対して申請が必要です。申請の後、審査期間があり、問題がなければ特許として認定されます。

特許を取った発明は、法的な保護のもと、それを発案者が独占利用する権利を与えられます。発案者以外が、権利者に無断で同等の発明を利用しようとした場合、発案者から訴えられ、損害賠償などを求められる事があります。

今回の任天堂のケースも、任天堂の発売した商品に特許侵害があるとして、特許権を持つ別の企業から訴えられ、結果として賠償金の支払い命令を下す判決が下りたという話です。

一見、「自分で発明したものを自分で独占するのはあたりまえでしょ。」と思われる方も多いと思います。でも、実際には、ここにいくつもの問題が出てくるのです。


  なぜ今更「ゲームキューブ」なのか

─ 任天堂の発売したゲーム機「ゲームキューブ」や「Wii」のコントローラーの設計が、特許を侵害しているとして、米テキサス州の地裁陪審団が、任天堂に約22億円の賠償金を支払いを命じた。 ─

今回の任天堂が訴えられた件は、「振動機能付き3Dコントローラー」の特許によるもので、Anascape社が2000年11月に特許を申請していると言う物。ところが、皆さん、多くの方もご存知の通り、振動機能のついたコントローラーはソニーのプレイステーションなどでもすでに商品化されていましたし、任天堂もNINTENDO64用のコントローラーに拡張用の「振動パック(1997年発売)」を組み合わせる事で利用可能にしていました。

今回侵害されたと主張する特許内容は、あらかじめ振動機能を内蔵していて、なおかつ3Dのコントローラーとする、特許法の抜け穴のような物なのでしょう。3Dのコントローラー自体も、NINTENDO64が家庭向けゲーム機として初めて商品化した物なのですが…。

ゲームキューブ コントローラー
任天堂ゲームキューブ用コントローラー

コントローラの特許に関する有名な(?)話があります。ファミコンの十字型のキーは、任天堂が特許(厳密には実用新案)を取っていて、他のメーカーは同じ構造を持つ商品を勝手に作れない状態がありました(現在は特許期間切れ)。なので、セガ、ソニー、NECなどの当時のゲーム機は、任天堂の十字キーとは少し違う形をしていたのが記憶にあると思います。

ただ、ファミコン以前のゲーム機は、独立したボタンや丸いパッド型、またはジョイスティック、左右に回すパドル型などが主流であり、十字キーに関してはあきらかにファミコンのまねをしようとしなければ作りえない物でした。一方、今回のゲームキューブコントローラーの特許はどうでしょう? 任天堂が意図的に、今回侵害したとする特許情報を利用したと、素直に考えられるでしょうか?

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今では十字キーも特許が切れていて、ファミコンのコントローラーに似た製品もたくさん出ている。写真は、USB接続のパソコン用ゲームパッド、バッファローコクヨサプライ製「レトロ調 USBゲームパッド」。8ボタンに拡張され、操作性もよく、価格も安い。
レトロ調USBゲームパッド


  広くありふれた物は特許になり得ない

さきほど、特許の出願から認可までに時間がかかるとお話しました。長い場合では年単位で時間がかかる場合もあります。それは、この期間内に「すでに別の者が取得している特許ではないか」、「すでに一般に広くありふれた物ではないのか」、「新たな発明と呼べる物に値するかどうか」などの調査が行われます。

…ですが、実際には審査の不備により、すでにごくありふれた物であっても、申請者の新発明として特許を許可してしまう場合があるのです。今回の任天堂の件がこれであるとはいいませんが、もし悪意を持った者が、すでに発売されている商品の特許を取り、逆に元の発案者に特許侵害で訴えを起こしたらどうなるでしょう…

少し余談ですが、日本にも、すでに別の企業が商品化している物の特許をあえて取り、同じような商品を作ったり、逆に訴えを起こしたりして、他社を陥れる企業があるとかないとか聞きますねぇ(^^;;;)


  特許社会が生む恐ろしい未来

すでに世の中にありふれた物に関して特許が認可されてしまうと、大変な事が起こります。すでに世の中にありふれた物であるなら、私たちだって普段から普通に利用するわけです。もし、それら全部が特許で保護される時代になったらどうなるでしょう?

例えば企業が、何か商品を作ろうとした時、「電子基板に電子部品を半田付けする特許」「プラスチックで筐体を作り上げる特許」「十字の穴のネジの特許」「表面を塗装する特許」…、と言う具合に、何もかも全てが特許で独占されていれば、誰も新しい商品を作れなくなるでしょう。



極端に言えば、「洗剤で顔を洗う特許」「はしでごはんを食べる特許」「正座と言う座り方の特許」「ふとんを3つ折りする特許」「鍵を開け閉めする特許」なんてのも認可されてしまうかもしれません。そうなれば、普段の生活さえできなくなってしまうでしょう。


  特許は誰のための物?

特許制度は、実は誰かが何かを発明した時、それを広く公開して、同じ技術を共有する事で、無駄な開発時間を減らし、よりいっそうの技術向上を目指しましょう。と言うのが、本当の意味と言う話もあります。実際に特許を出願し、認可されれば、その発明は誰もが参照できる技術になります。

特許は申請、認可性なので必然的に公開になるだけかもしれませんが、これは、発明者が技術を独占すると言う考え方とは、ある意味正反対になり、ちょっと不思議ですよね…。

さて、特許を申請するには、お金がかかります。大企業にとってはたいした額ではないかもしれませんが、中小企業や個人事業家にとっては、申請を行っても単に無駄に終わってしまう可能性もあり、何かを発明したとしても簡単に特許を取得する事ができないのが現状です。

それに、特許だけを無差別に取りまくり、色々な企業を訴えるビジネスも存在します。また、企業は、何かを発明してもそれがすでに特許申請されている物かを調べるのに大変な苦労がいるでしょう。結果、特許を侵害するつもりがなくても、結果的に特許を侵害してしまい、賠償額を請求される事もあるでしょう。

力のある者がさらに強さを得る。弱肉強食の世界と言いますか…、残念ながら、今の特許制度は、頑張って良い発明をした「弱者」を守るための制度ではないようです。


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